デジタルトランスフォーメーションの核心に迫る「アナログトランスフォーメーション」
デジタルトランスフォーメーション(DX)が成功するためには、「アナログトランスフォーメーション(AX)」が欠かせません。AXは、“アナログ”技術を駆使して社会をより良く変えることを指し、DXの基盤となっています。
DXの意味を因数分解すると、「DX=AX+デジタルツール」。これは、DXは単なるデジタルツールの採用だけでなく、まずアナログでの変革が前提となり、その後にデジタルツールを駆使して効果を最大限に引き出すという考え方です。
具体的な事例として、製造業A社の営業部門のDXプロジェクトを取り上げます。製品知識が不可欠な金属製コンテナBOXの販売で、営業の属人化や設計者の協力不足が課題でした。
A社が採用した新システムは、「図面設計自動化DX」。これにより、営業マンが設計スキルを持たなくても、タブレットを使用して顧客の要望を入力し、自動で図面を生成することが可能になりました。これにより、図面作成にかかる時間が1~2時間に短縮され、営業の属人化も改善されました。
この事例から見えてくるのは、DXの成果はアナログトランスフォーメーションに起因しているという点です。設計者に依存せず、営業が図面提案を行う新しい発想が、営業業務の改善を通じて設計業務にもポジティブな影響を与えたのです。デジタルとアナログが融合することで、真に効果的なDXが成り立っています。
紙の帳票をデジタル化したとか、リアルをリモートにしたというのは
「デジタルチェンジ」であって、「DX」とは言えません。
まず、現状業務の改善(アナログでのトランスフォーメーション)がありきで、
その効果を最大限にするためにデジタルツールを活用する、そういう発想が必要です。